提言 vol.1

提言 vol.1

2007.08.15

  • 資料

総理、閣僚は先ず靖國神社に参拝し、美しい国日本の再生を

英霊にこたえる会中央本部事務局長
冨田定幸

信条の「総理の靖國神社参拝」を果たさず安倍総理退陣
 小泉純一郎元総理が公約の「八月十五日靖國神社参拝」を果たされて退任され、その後を継いで「戦後体制からの脱却と美しい国日本の再生」を目指す安倍政権が誕生した時、我々は安倍総理の官房長官当時の言動から、英霊顕彰と靖國神社における公式参拝の実現を目指す我々の運動の将来に明るい希望を懐き、やがては陛下の御親拝の道も啓けるものと大きく期待した。

 ところが総理就任後、靖國神社参拝については、いわゆる「あいまい戦術」を唱え、平成十八年秋、平成十九年春の例大祭にも参拝せず、安倍総理は参院選に臨んだ。

「戦後体制からの脱却」の最大の目標である「憲法改正」を道づけするためには、安倍総理にとってどうしても勝たねばならぬ参院選だった。応援演説で腕まくり姿で「どうしても勝たねばならないのです」と叫んでいた安倍総理をテレビは捉えていた。しかしながら参院選の結果は自民党の歴史的大敗北となり、四面楚歌の中、引き続き政権担当を決めた安倍総理だったが、結局信条の「総理の靖國神社参拝の継続」を果たさないで無念の退陣となってしまった。

ボタンの掛け違い「あいまい戦術」
 自民党の後継総裁選で「アジア外交を重視して行く」と述べた安倍総理は就任後の初外遊先に中国、韓国を選んだ。そして歴史認識問題について自らの持論を封じ、衆院予算委員会で、アジア諸国への「植民地支配と侵略」を認め、謝罪した村山首相談話について「国として示した通りであると、私は考えている」と述べ、従軍慰安婦問題で軍当局の関与と「強制性」を認めた河野官房長官談話に関しても「私を含め政府として受け継いでいる」と答弁した。

 対中強硬派と見られていた安倍総理のこの言動は「安倍首相では日中、日韓関係の改善は難しいのではないか」という内外の懸念を払拭する狙いがあった。

 小泉総理の靖國神社参拝で首脳外交が停滞した中韓両国との関係改善が総裁選で大きな争点となったので、安倍総理としては「中韓関係改善」を総理としての初仕事とした上で、政局運営に取り組み、来るべき参院選で必勝を期すもくろみがあったと思われる。

 中韓関係改善で両国が政治的障害と抱えている「総理の靖國参拝」について安倍総理は、総理就任後初の衆院本会議での代表質問で、自らの靖國神社参拝について「私が行った、行かない、あるいは参拝したか、しないかについて宣明するつもりはない」と述べ、参拝の有無を明らかにする考えはないことを強調した。

 靖國参拝をやめれば支持層の反発を買い、参拝すれば中韓との関係改善は遠のく。この矛盾を解決するための「あいまい戦術」(私は参院選に勝利する迄の職術と思っていた)であったが、中韓との首脳会談後は、結局、総確の靖國参拝は行われず、安倍総理自身が「あいまい戦術」に自縄自縛された感さえある。

 そして国民は、村山談話や河野発言の肯定容認や、自分の信条さえ実行し得ない安倍総理の姿に、それまでに懐いていた「安倍晋三観」に疑問を持ち、不信感、失望感となって参院選の敗北に拍車をかけることになった。

中韓関係改善前に安倍総理にやってほしかったこと
 死児の齢を数える感はあるが、安倍総理には、就任後の初外遊に中国と柚国を選んで実行する前にやってほしかったことが二つある。その一つは、初外遊はやはり米国を選ぶべきではなかったかということである。

 安倍総理念願の「戦後体制からの脱却」のためには何をおいても米国の理解が必要である。日本の安全保障政策の要である「日米安保条約」の有効性を高め、パートナーである米国の信頼を得るためにも、先ず外遊する先は米国であろう。ブッシュ大統領と直接、自らの信条と靖國観端について語り合い.大統領の信頼を得ておくことが必要不可欠であった。

 その二は総理就任後初の靖國神社秋の例大祭に「総理の靖國神社参拝」を行うことであった。国民は安倍総理の靖國神社参拝を支持し、総理就任を祝したのである。国民の要望に応えて靖國神社参拝を実施した後、堂々と中韓関係改善を打ち出すべきではなかったか。参拝したことにより中韓関係改善が遠のいたとしても国民の大多数はこれを「是」として認めるであろう。中韓の不当な内政干渉に屈してまで関係改善を進めることは、日本の国益上は百害あって一利なしである。

国民の選んだ参院議員の靖國観
 自民党が歴史的大惨敗をし、安倍総理が退陣に追い込まれた平成十九年七月の参院選、国民はどの様な靖國観をもつ候補者を、六年間の国政を託するに足る人物として一票を投じたのであろうか。

 毎日新聞が参院選を前にして全立候補者を対象に実施したアンケート調査の結果が平成十九年七月十四日の朝刊に掲載された。設問は「安倍首相は靖國に参拝すべきか」というものであった。(注・自民党の選挙区当選の小林温氏は選挙違反問題で辞任したが、この結果に入っている)

 国家のために尊い命を捧げた人々を慰霊顕彰することは国として当然の責務であり、正義である。総理が、その目的で国を代表して靖國神社を参拝することに対する当選者の意見は、自民党議員でさえ、回答者三十三名中津成は十七名で五一・五%にすぎず、全回答者百十四名中、賛成は二十名で、わずか一七・五%であった。一方、反対者は公明党、共産党、社民発、国民新党、新党日本は全員、民主党は五十七名中四十七名(八二・五%)で、自民党にも四名(二二%)いて百十四名中七十四名が反対で約六五%を占めていた。

 先の大戦終了後、日本民族弱体化政策を押し進めたGHQが靖國神社焼却計画を立てた時、ブルーノ・ピッテル神父は「いかなる宗教を信仰する者であろうとも、国家のために死んだ者は、靖國神社にその霊を祀られるべきである」と進言し焼却計画に反対した。

 戦時中、日本の敵国の立場にあった神父がその存在意義を認めた靖國神社に日本の公党や国民の選良たる国会議員がこのような靖國参拝観をもっていることを、我々はどのように理解すべきなのだろうか。

御祭神が御照覧あそばす歴代総理の靖國神社参拝
 参院選で当選した議員の靖國神社参拝観を見て、国民はこのような意識をもった議員に国政を託したのだと自嘲の思いでいたところへ更なる衝撃的な出来事が起こった。

 安倍総理の後継を決める総裁選で、靖國神社参拝について、「自分の国のために命を投げ出してくれた人に敬意を表すことを禁止する国はない」と言った麻生太郎候補を抑えて、かつて官房長官当時、「国立の無宗教戦没者施設の建設」を私的諮問機関を設けて答申させ、今回の総裁選で「政治問題になるなら避ける」「友人(中国を指す)のいやがることを貴方はやりますか」と言って靖國神祉不参拝を表明した福田康夫候補が、自民党国会議員の圧倒的賛同を得て総裁選に勝利し、わが国の総理に就任したのである。

 自民党は、平成十九年度の運動方針の一つに「靖國神社の参拝を受け継ぎ、国の礎となられた方々に対して謹んで哀悼の誠を捧げ、不戦を誓い、恒久平和への決意を新たにする」と明示し、総理の靖國参拝への意欲も強くにじませていた。この方針は当然安倍総理の所信を強く打出したものであるが、国民も自民党員もそれを「是」として運動方針としたものであろう。にも拘らず、党の運動方針として示した靖國参拝を「実施しない」と明言する人物を、自民党は総裁として選んだのである。これ又、我々国民はどう理解すべきであろうか。

 昭和二十六年九月五目サンフランシスコ講和条約調印後、歴代総理の靖國神社参拝と不参拝の総理の氏名を見比べていると不思議な思いにとらわれる。参拝した総理は殆んど全員、任期を全うして退任、大平総理は総選挙遊説中、不幸にして病に倒れたが「弔い選挙」となった衆院選には勝利を収めた。逆に不参拝の総理は殆んどが任期途中、病や不測の事態で退任に至っている。

 靖國神社に鎮ります二百四十六万余杜の御祭神は、じっと歴代総理の参拝を御照覧あそばし、御加護を示していられるのであろうか。

「戦後体制」の脱却なくして日本の将来なし
「戦後体制」から脱却して美しい国日本の再生を掲げて安倍総理が登場した時、我々は終戦後六十余年にして、やっとGHQの対日占領政策の呪縛から脱し、日本を全き自立国家として再生させるべき天命をもった宰相が現われたと大いなる期待を寄せた。

 安倍総理は、総理就任後先ず「教育基本法」を制定から五十九年ぶりに改正し、それまでになかった「公共の精神」や「伝統と文化の尊重」「国を愛する態度」などを盛り込んだ。又、永年の懸案であった防衛庁の「省」昇格を果たし、昨年五月には憲法改正の第一段階として憲法改正手続きを定めた国民投票法を成立させた。

 安倍総理がその所信に基づき、着々と「戦後体制」から脱却のための政策を積み重ねていくことに危機感を懐いて「反安倍」のマスコミ、野党それに自民党内の戦後体制温存派が「反安倍包囲網」を敷いた結果、安倍総理は勝たねばならなかった参院戦に敗れ、それにも拘らず.政権継続を表明し「戦後体制」からの脱却の旗印を降ろすことなく、闘い抜こうとしたが、自民党内にも退任の声が上がり、本人も健康を害し、退陣せざるを得なかった。

 今更言うまでもなくGHQの目的は「日本を再び米国と世界の脅威的な存在にしない」ために、日本国家を解体し、日本人から名誉と誇りを奪い第三流民族に陥れることであった。そうした日本改造の象徴が日本国憲法であり、日本人から歴史的な誇りを奪ったのが東京裁判史観と神道指令と言えよう。

 日本人が真の日本人に立ち戻り、日本国が全き主権国家であるためには、どうしてもGHQの占領政策の呪縛から脱すること、即ち「戦後体制からの脱却」なくして日本の将来は望めないのである。

夢―認証式を終えた直後、全閣僚で靖國神社参拝を
 随分昔のことになるが、ある保険会社が「日本人の最も好きな漢字」についてアンケートをとったところ第一位は「夢」であった。

 我々「英霊顕彰」に関わっている者にとっての「夢」は何であろう。と考えた時、真先に浮かんできたのが「認証式を終えた直後に全閣僚が靖國神社に参拝すること」であった。

 国のために力を尽くし、命を捧げて、豊葦原原の瑞穂の国とうたわれたこの世界に誇る美しい国、日本を今日あらしめていただいた御祭神の祀られている靖國神社に認証式を終えたなら直ちに参拝し「国政を司る音として御祭神が命を捧げて守っていただいた我が国と国民をしっかり守っていきますので御照覧下さい」と報告するのが閣僚として最初の仕事であろう。そこには政党の違いも宗派の違いもない。あるのは閣僚として使命の達成のみである。この夢が正夢となった時、わが国は誇りある国、誇りある日本民族として再生し、美しい国日本が蘇える。そして願わくは「美しい」の前に強くてを入れて「強くて美しい国、日本の再生」を願うものである。

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